川崎病が川崎医師の論文が認められる事で一つの疾病と認められた様に、ローナ・ウイング医師の論文が世界の医学会で認められた事で、自閉症の明確な診断が可能になりました。そのローナ・ウイングの論文と、それを裏付ける重要な論文書籍です。

自閉症の心の世界
認知心理学からのアプローチ 星和書店
フランチェスカ・ハッペ
この書籍は他の書籍とは性格が異なり、専門家あるいは研究者が、自閉症の研究がどの様に行われ、どの様な方向に向かっているか俯瞰的に見る事に役立つ論文集(論文紹介集)となっている事です。自閉症の研究はローナ・ウイングの論文が世界的に認められWHOの総会で論文発表された事で、一つの節目を見ましたが、その陰には膨大な消え去った論文があります。現在も無理筋の論文の為の論文づくりがされています。その無駄をなくすためにも自閉症の本質を見極めるためにも非常に役立つ書籍です。

自閉症の
謎を解き明かす 東京書籍
ウタ・フリス
ローナ・ウイングの「自閉症スペクトル」に対し、もう少し理論的解説に重きを置いています。こちらも非常に分かりやすく誠実にかかれた書籍です。私が「重要図書」に選び出した書籍はいずれも自閉症に対するいつくしみと愛情が感じられる書籍ですから、どの本も安心して読む事ができます。
現在の自閉症診断にも反映されたローナ・ウイングの論文。その「自閉症スペクトル」の中で唯一読者に推薦しているのが「自閉症児エリーの記録」です。ウイングは「物静かで引きこもる子ども」を持つ親に対して「自閉症児エリーの記録」を読む事を勧めています。

自閉症児
エリーの記録 河出書房新社
クララ・パーク
「ひとりぼっちのエリー」を改題し新装版となった書籍。クララ・パークの娘エリー。ベビーベッドの上にいれば上機嫌な娘エリー。言葉も話さず立ち上がりもしないエリー。そのエリーの8才までの成長の記録です。ローナ・ウイングが推奨するように素晴らしい書籍です。是非お読みください。

自閉症の娘との
四十年の記録 河出書房新社
クララ・パーク
初版から反響を呼び読み続けられ、しかも内容が古くならない「自閉症児エリーの記録」。その続編となる書籍です。日本の自閉症児の本は数年で淘汰され、その結果大人の自閉症者の観察記録はほとんど目にする事が出来ません。自閉症児エリーがその後どの様に大人になったのか、是非この書籍で確認してみて下さい。
クララ・パークは2010年亡くなられたそうです。おそらくエリーはクララ・パークが予測した通り施設で暮らしているでしょう。しかしそれまで一緒に暮らす事が出来た米国と、日本との環境の違いを考えるともの悲しくさみしい気持ちになります。

ひとりぼっちのエリー
ある自閉症児の記録 河出書房新社
クララ・パーク
「自閉症児エリーの記録」の初版本。米国では1967年に初版が出版されたようですが、日本に紹介されたのがそのほぼ10年後。原題に「自閉症児の初めの8年」とある様にエリー8才までの記録です。日本語版出版にあたりエリーの18才の様子が追加されています。その内容は自閉症児に対する愛情と、科学者としての冷静な観察力によって書かれたモノ。もう一人のローナ・ウイングとも言えるクララ・パークのこの書籍は、ウイングの研究に大きな裏付けとなったでしょう。