
自閉症スペクトル
親と専門家のためのガイドブック ローナ・ウイング
東京書籍
DSM‐5でスペクトラムと言う日本語が採用されている関係か、自閉症スペクトラムと言う表現をよく目にしますが、世界で一番初めに自閉症スペクトルの概念をまとめ上げたローナ・ウイングと、日本にこの書籍を紹介した訳者に敬意を表して、
私はすべて自閉症スペクトルと表現しています。
ちなみに、工学理学光学の分野では、スペクトルという日本語表現の方が一般的です。
ローナ・ウイングは未知の障害自閉症を、自閉症に知能の高い自閉症(アスペルガー症候群)を加える事で、知能で判別するのでは無く、知能の高低にかかわらず存在する「自閉症」という障害を「自閉症スペクトル」という形で表現し、理論的裏付けを示しました。
この理論は世界の医学界に認められ、診断基準を模索していた自閉症の診断が可能になりました。
現在自閉症・アスペルガー症候群の診断が可能になったのは、ローナ・ウイングが誠実に自閉症理論を構築し、「障害の三つ組」すべてが揃う障害が自閉症である。と明確に示してくれたお陰なのです。
この功績で、英国では女王陛下から勲章を貰い、1990年WHOに招待され講演を行いました。
現在のICD‐10自閉症の診断基準にはこのローナ・ウイングの理論が反映された基準となっています。
ローナ・ウイングのこの輝かしい実績の裏には、1956年生まれの自閉症の娘さんの存在無くしては不可能だったでしょう。
本書は1970年に「自閉症児 親のためのガイドブック」として出版された書籍を全面改訂。内容も当然ICD‐10の診断基準に準じた内容でまとめられています。
35年間自閉症児と共に生き観察した実績と、医師としての知識、理論的裏付けによって書かれた本書籍は、自閉症がどのような障害なのかを非常に分かりやすく書かれています。専門家だけではなく、自閉症(アスペルガー症候群)の子供を持つ親にとって最高のガイドブックであり、この一冊を読みこなす事が出来れば、他のガイドブックは必要ありません。
ローナ・ウイングの娘さんスーザンが 1956年生
私の妻 山岸 美代子が 1956年3月生
私 山岸 徹が 1957年1月生
クララ・パークの娘さんエリーが 1958年7月生
ドキュメンタリー「太鼓と少年」の少年が 1958年4月生の学年
ほぼ同世代で時代背景も一緒の彼ら。今も同じように生き続けているはずです。
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