愛情を知る 自閉症

まだ幼く言葉を話さない子供。

保健婦は自閉症かもしれないと言う。

この子は一生言葉を話さないのだろうか。それとも話す様になるのだろうか。

不安に思うご両親に、私が知る大好きな話を読んで貰いたい。

妻は何かがひらめいたらしくアヴェロンの野生児を持って来てページを開いた。

「ほら、ココココ。読んでみて」

アヴェロンの野生児

概略はこうだ。19世紀1800年フランスの森の中で裸同然で暮らしている子供が捕まった。

12-3才と言われている。5年前にも目撃例があり近くの住民の話を総合すると、4-5才の時に捨てられたのでは無いかと言う。

今で言うカナー型の子供で、捕まったときは言葉もしゃべらず激しく抵抗した。

盲学校で引き取り育てる事になり、そこの管理人のゲラン夫妻に世話をされた。2度目に逃げ出した頃、ヴィクトールが世話を受けて3-4年16-7才の頃か。その時のエピソード

同じ頃、ゲラン夫人の主人が病気になり、校外で診察を受ける事になりましたが、ヴィクトールはそれを知らされませんでした。

彼は自分の手伝い仕事の一つとして、夕食時になると食卓の用意をすることになっていましたので、ゲラン氏の分も相変わらず置き続けました。

毎日その分は片付けられましたが、翌日になると、きまって彼はまた並べるのです。

病状が悪化し、ゲラン氏は病没されました。氏が亡くなった当日も、氏の食器が食卓に置かれました。

そうしたことが、ゲラン夫人にどれほど胸が張り裂ける思いをさせたか、{私には}手にとるようにわかります。

この悲痛な場面を目撃して、ヴィクトールは、その原因が自分にあることを悟りました。

自分のおこないがまずかったと考えただけなのか、夫人の絶望の動機まで見抜いて自分のしたことがどれほど無駄で場ちがいものかを悟ったのか、

とにかく彼は自分から食器を片付け、悲しそうにそれを戸棚にしまい込み、二度と再び並べはしませんでした。

ずっと使われない食器を出し続けていたけど、ゲランさんが死んだんだ。もういないんだ。

食器を使わないから不思議でしょうがなかったけど、やっと使われない意味が分かった。

そうだったんだ。もうゲランさんは食器を使わないんだ。ゲランさんの食器は出さなくていいんだ。

なんて可哀想なんだ。分かった瞬間、胸がドキッとして、バラバラだったピースが全部繋がったのだ。

「ねぇ、本当に可哀想でしょう。頭の中では分かってるのに、それが結びつかないんだよ。でもある日突然何かの拍子にそれが結びついて分かるんだよ」

  

私もそう思う。

  

きっとヴィクトールは葬式にも出たんだろう。
ゲランさんの死に顔も見たかもしれない。
だれかが一生懸命教えようと、事の子細を耳元で話したかもしれない。
それでも、毎日食器を準備する。

ところが、ある日、食器を使う人がゲランさんで、あの祭壇で死んでいた人で、埋葬された人で、この食器を使う人が居ないとすべての事柄が結びついた。

  

  

私も妻も、過去の毎日の生活の中で、同じ様な事の繰り返しだったから、この一つのエピソードだけで胸がつぶれる思いだ。

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